A mobaile novel☆☆

体調崩し、まぁごたごたあり、
踏んだり蹴ったり、でもって叩いたり殴られたりの
Ritoです。
すっかり忘れてたのですが、久々に携帯小説アップします!
ぜひぜひ感想を!
変な話です!笑




    
 

     異質日

「自分は人を助けられませんでした。」
患者が話す。
「どうしたのですか?もし良ければ話して頂けませんか?」
医者が聞く。すると患者は顔を上げ、口を開けた。
「今朝、寝坊していつもより遅く家を出ました。もう間に合わないので急がず歩いていると、目の前に若いカップルがいました。通り過ぎようとしたら、2人が急にゲラゲラ笑い出しました。私はどうすれば良いのかわからなかったので『大丈夫ですか?』とそれだけ言って逃げてしまいました。その後も2人は笑い続けていました。」
「そうですか。」
医者が優しくたずねる。
「これだけではないんです。またしばらく歩くと今度は子供が『りんごりんご』言い出しました。『りんごが食べたいの?』と聞くと、今度は笑い出しました。また私はどうしていいのかわからず『ごめんね』と一言言い、逃げてきてしまいました。その後もその子は『りんご』と言い続けていました。」
「りんごですか…」
医者がのんきに話す。
「人事だと思って!」
急に患者が怒り出した。
「まぁ、怒らないでください。他にも何かあったんですか?」
医者がそう聞くと、また患者が話し始めた。
「はい。その後、私は会社まで逃げるように走って行ったんです。信号待ちをしていると今度はお婆さんに話しかけられました。するとそのお婆さんはりんごではなく、『たらこ』と言ってきたのです。『たらこ…私は明太子のほうが好きだけど』と。するとそのお婆さんも上品ながらもケラケラと笑い出したのです。もう、どうすれば良いのかわからず、お婆さんにお辞儀をして、逃げてきました。」
患者はすがるように言った。
「そうですか…じゃあ、まず、顔を…顔を洗って気分転換しましょうか。」
「え?顔ですか!?」
患者は驚いた表情を見せている。
「はい、顔です。洗ってきてください。出て左が化粧室ですから。」
そういうと看護士が下を向きながら患者を案内した。
 医者にはわかっていた。どうして、彼女が笑われたのか。彼女は随分ひどい顔をしていた。昨日は忘年会でもあって、罰ゲームかなんかでやられたのだろう。『りんご』は顔が真っ赤だったから。絵の具を塗ったみたいだった。そして唇を大きくはみだした口紅を見て『たらこ』。カップルは彼女の顔を見て笑ってしまった言い訳を作れず、子供は正直に答え、お婆さんは誤魔化したのだ。
 そして僕は…彼女と目を合わせて話せなかった。化粧室から彼女の悲鳴が聞こえた。


                     (了)